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医用電気機器の安全通則JISの改訂(1999年)について

わが国の医用電気機器(ME機器)のすべてにかかわる最も基本的なJIS規格である「安全通則」が昨年 (1999年)に改訂されました。それまでの、JIS T 1001(安全通則)およびJIS T 1002(試験方法)が、JIS T 0601-1として制定されたもので、これは、国際規格であるIEC 6060-1(General Standard)の完全な翻訳規格であり、長年の懸案であった国際的な統一規格が実現しました。

おもな改訂点とそれについての解説は、以下のようなものです。


(1)医用電気機器の範囲の規定が変更された。

 「機器の正常な使用を可能とするために製造業者が指定した必要な付属品を含める」ことが追加された。

(2)患者装着部の規定が変更された。

 次のように規定された。

 「正常な使用において、次のどれかに該当する機器の部分、

  @その機能を遂行するために、患者を物理的に接触させる必要がある。

  A患者と接触する可能性がある。

  B患者が触れる必要がある。」

 従来は、「機器の部分のうち、診断、治療または監視を受ける患者に意図的に接触または挿入させる部分。 患者コードも含める。」とされていたので、より広い範囲が患者装着部として含まれることになった。

(3)B、BFおよびCF形分類は、装着部の分類に変更された。

 これら図記号(マーク)は、機器本体ではなく装着部に表示することになった。

 従来は、B形機器というように「機器」の分類であったが、患者に対する安全性という観点からは、これらの安全手段はどこで実現されているかが問題ではなく、装着部が安全であるかどうかが重要であること、また、一台の機器で複数種類の装着部を有するものもあることから、このように変更された。

 同様の理由から、表示部分も装着部とされた。

(4)患者漏れ電流に、直流成分が規定された。

 直流が生体組織に流れることによって電気分解が生じ、細胞や組織の壊死を引き起こす危険を防止するため。特に、小面積で接触する小さな電極や針電極で問題になる。

(5)保護接地抵抗の測定電流が、定格の1.5倍または25Aとされた。

 従来は、「解放電圧6V以下の電源で、10〜25Aの電流を少なくとも5秒間・・・」とされていたが、定格電流が25A以上の大きな機器では定格電流以下での測定になってしまうので、改訂された。

(6)耐除細動形装着部とその要求事項が追加された。

 除細動器を使用する場合、患者に他の機器が接続されていると、その装着部を経由して、機器の外装や入出力部に触れている人へ分流して感電を生じる危険性がある。それを防ぐために、不要なエネルギーの流入を阻止する装着部とその要求事項が規定された。

(7)タッチプルーフコネクタの要求が規定された。

 すべての医用電気機器の装着部のコネクタは、危険な電位に触れる構造であってはならないという要求が 規定された。通称「タッチプルーフコネクタ」といい、要するに電極コードの機器側コネクタを電源コンセ ントに誤って差してしまうといった事故を防ぐもので、心電計や脳波計などすでにこの規定が盛り込まれた個別JISもある。

(8)環境保護に関する要求が規定された。

 医用電気機器で使用する消耗品、残留物および寿命が終わった機器の廃棄に伴うリスクを明確にすること、さらにそのリスクを最小限にするための助言を取扱説明書に記載することが要求された。

 

連続漏れ電流および患者測定電流の許容値(JIS T 0601-1 1999)

電流 B形 BF形  CF形
正常状態 単一故障状態 正常状態 単一故障状態 正常状態 単一故障状態
接地漏れ電流
 一般機器

0.5

1(1)

0.5
 
1(1)

0.5
 
1(1)
 注(2)および(4 )に従う機器  2.5 5(1) 2.5 5(1) 2.5 5(1)
 注(3)に従う機器 5 10(1) 5 10(1) 5 10(1)
外装漏れ電流 0.1 0.5 0.1 0.5 0.1 0.5
患者漏れ電流
 患者漏れ電流-T
 機器→装着部→患者→大地
  直流
  交流(5)


0.01
0.1


0.05
0.5


0.01
0.1
 

0.05
0.5

 

0.01
0.01

 

0.05
0.05

患者漏れ電流-U
 他の機器→信号入力部・
 信号出力部→患者→大地
5
患者漏れ電流-V
他の機器→患者→装着部→大地




5


0.05
患者測定電流
  直流
  交流(5)

0.01
0.1

0.05
0.5

0.01
0.1
 
0.05
0.5

0.01
0.01

0.05
0.05

注(1)接地漏れ電流に関する唯一の単一故障状態は、電源導線の1本の断線である。

 (2)保護接地した接触可能部分がなく、他の機器への保護接地手段をもたず、かつ、外装漏れ電流および患者漏れ電流(該当する場合は)に関す る要求事項に適合する機器。

   例:シールドした電源をもつコンピュータ

 (3)工具を使用しなければ緩められないように電気的に接続した保護接地を用い、かつ、工具を使用しなければ取り外せないように特定の場所に 機械的に締め付けるか固定することによって永久的に設置することが指定されている機器。

   例:X線発生装置、透視撮影台、治療台のようなX線設備の主要部分

     無機質の材料で絶縁したヒータをもつ機器

     無線周波干渉防止に関する要求事項に適合するため、表の第1行に示した値より大きい接地漏れ電流をもつ機器

 (4)移動形X線装置および無機質の絶縁材料で分離した絶縁をもつ移動形機器

 (5)表に規定した患者漏れ電流および患者測定電流の交流部分に関する最大値は、その電流の交流成分だけに関係するものである。


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